技術とノウハウ

表現方法が悪いのか、こういう技術を磨いて、
取得して、向上して、という話しをしていると、

これをやれば強くなれますか?

と、問われる。
もっと直裁に、どんなトレーニングをしたら強く(速く)なれますか?

と聞かれる事も多い。


ところで、私は競技における「技術」をこう定義付けている。
ストライドの伸ばし方、ピッチの上げ方、上り坂、下り坂、不整地・・・走り方。
ペース維持や身体操作、動作、ケアや予防・・・

様々なもの、一つ一つの要素のこと。


例えば、柔道を強くなるためにはどうすれば良いか?
と言えば、一つ一つの技術(技)に対する対処法を身に付けつつ、
自分の得意とする技を磨く。
と、考えれば、分かりやすいか。
立ち技(背負い投げ、一本背負い・・・)、寝技・・・
これが技で、技術。勿論、その技を成立させる為のもっと細かい技術はあるのでしょうが、
専門外なのでご容赦を。大体このようなイメージかと。


どうやったら速くなれるか。
それで応えられるアドバイスは、精々が「ノウハウ」と呼ばれるもの。
レース後半のペースダウンを避ける為にこうして、ああして。
などなど。ここをちょいちょいと工夫して変えれば速くなりますよ。
勿論、これも細かく説明しだすと「技術」になっていく。
が、その一部分を変えれば後に説明するように本来複雑な人間の身体、
連動しているのだから、他に不具合が出るか、他も変更しなくてはならない。
一時的なノウハウに過ぎないと考える。


一流アスリートは様々な技術の組み合わせ、取得により構成され、一流アスリートに成っている訳で、
一流アスルートという技術があるわけでも、ノウハウがある訳でもない。
ノウハウで一流アスリートを育てるのは難しく、細かな技術の伝承ないしは本人の開拓が必要となる。


伝わりますか??


一流になる為に様々取り組んできて、身に付けて、そこまでのレベルに到達している。
一つや二つの簡単な技術でそこまで行けたわけではないし、
ましてやいわゆる「才能」「素質」があるから適当にトレーニングを続け、
若しくは、ただ走ってきただけで一流になっている訳ではない。
中には自分がどれだけ技術を持っているか、表現出来ないだけの人もいる。
だからといって、技術をもっていない一流はそう存在しないはず。


初心者、中級の頃はそのノウハウだけでも記録が向上する事がある。
そもそもトレーニングが質量ともに改善されている段階だったり、
トレーニングで付けた実力が、阻害要因で(レース下手など)発揮し切れていない場合など。

しかし、上級に近付くに連れて、トレーニングは頭打ちになってきて、
より精微に技術向上、取得に取り組まなければならない段階へと入ってくる。
それでも今まで通りに「ノウハウ」を求めていては大きな向上は得られない。
そして、技術は積み重ね。
一朝一夕、たった一瞬で取得できるものだけではない。
だから、技術を積み重ねてきたアスリートは強くて、速い。


ただのランニング。walk。
されど、赤ちゃんが歩き、走るようになるまでをイメージして貰えれば良いが、
長い時間を掛けて、一つ一つのプロセスを経てその動作が出来るようになる。
そんな複雑なプロセス、技術の組み合わせで成り立っている事に思いを馳せ、
技術の修得が出来る場、そういった日々の取り組みをしていく事で
もっともっと強く、速くなる可能性がある。

これは老若男女、変わらず、技術を求めることにより、向上が望めると考える。

私はずっと勉強、研究し、技術を指導し、少しでも多くの方々にノウハウだけではなく、
簡単に崩れたり、忘れたりしないしっかりとした技術をお伝えしたい。
最終更新:2014年05月01日 06:35