「再現性を持てるかどうか」2009.12.28

此処で言う「再現性」とは、競技の現場であれば、”勝利の方程式”を
組み立て、レース中に同じような勝ち方を再現できるか。
トレーニングにおいて、前回教わったこと、体感したことを再現出来るか
どうかを示したい。
勿論、科学における再現性となんら変わりなく、全てに通じることだと思う。

さて、冒頭から面倒くさい入り方をしましたが、選手に常々言っていることが
メモを取ること。
現場で、また、走りながらメモを取れとは言っていませんが、
頭にストックして、練習後でも思い出せる範囲で構わないのでメモをしなさい、ということ。
内容はアドバイス、自分で気付いたこと、感じたことを書く。
なぜならば・・・。

再現性を持つためには以下の条件が考えられます。

→言語化できるか。
 言語化したことが無い者は言語化されたモノを体現することも難しく、
また、口頭でアドバイスをされた時も体現率は低く、更に定着率も低い。
天才的な人もいて、言われたことをそのまま体現できる人もあろうかとは
思いますが、少なくとも私には無理です。
ですので、「言語化」に重きを置き、「再現性」を心掛けてきました。
勿論、指導も同様だと考えます。

故に、言語化しないならば、本などで調べても結局自分の中で実行、体現
出来る軸、核がありませんので、中々努力が活きて来ません。

(普段の指導でも心掛けているのがこの再現性を持つための、核作り。
言語化です。)

ここで重要なのはその対策かと思います。

それは、普段感じたこと、気付いたことをメモにし、読み返すということ。
この一連の作業が大切です。
何処か一箇所だけ行っても、効果は大きく下がるでしょう。
そして、後日そのメモを基に再現してみることです。
(このとき、コーチや、同僚が重要な役割を果たします。
また、セルフで鏡を見て行うこともよいでしょう。)
そこで気付いたことを再びメモし、強化、再現性を高くすることが出来ます。

再現性を持たないとこんな不利益があります。

まず、指導者が言っていることが分からない。
 どれだけ平易にアドバイスを伝えても、以前とずっと同じレベルで教え続けることは効率が悪いからです。マンツーマンの指導が出来るならばまだ良いでしょうが、その場合は自分でコーチを雇うなど、コストパフォーマンス面でお勧めできません。
 結局、仲間が努力し、核を作り、理解、実践、体現出来るようになれば、
自分だけが取り残されていきます。ある一定まではフォローを受けることが出来ますが、プロになるとそうは行きません。
勿論、全体のレベルが上がると何度も同じことを行うことは非効率となり、
自分自身も辛い思いをすることになります。

 次に、トレーニングというのは反復練習がほとんど。
しかし、そのレベルも徐々に上げていかなければ上のステージで戦えない。
質、量共に高じ、怪我や疲労などのリスクも大きくなります。
そこで身に付いていないと元のレベルに落とさざるを得ない。
ついには、上で戦うことなく、同じ位置で戦い続けざるを得なくなります。


 最後に。
ここに書いてあることをそのまま選手に伝えている訳ではありません。
最初はもっと平易に、分割して伝えます。
ただ、ここの文章を簡単に理解出来るようになっているとすれば、
それは普段からメモを取り、拙い私のアドバイスに耳を立てているという
ことだと思います。
 強くなるために大切なこと。
基本的なことになると思いますので、少しでも新しく、高度なことを
指導できるよう、再現性を持って、過去与えた課題はクリアして欲しいですね。
最終更新:2013年01月26日 17:07