ブレス王
ダーナ族とフィモール族の血をひく王。
妻はダグダの娘ブリギット。欲深く暴君で人々を苦しめていた。
彼の宮殿には音楽も歓待もなく、ある夕暮れに詩歌の神オグマと女流詩人エダン(Ethan)の息子、コープル(corpre)という吟唱詩人がブレス王を訪れたとき、
火も寝床もない真っ暗な部屋に通され、小さなテーブルにひからびたパンを3つという待遇をうけたため、
コープルによってこのときアイルランドで初めて、風刺詩が読まれた。
お皿には食べ物が盛られない
子牛が飲んで育つミルクすらない
夜の暗闇は人の住処ではない
詩を詠う者への礼儀もない
ブレス王に同じ思いをさせなさい
この魔法の力を持った風刺歌が街に広まり、ついにブレス王は王座をおりることになる。
このとき、銀の腕のヌァダは、ディアン・ケヒトの息子ミァハに腕を治してもらったので、
チャンスを逃さず再びターラの王座を奪い返した。
ブレス王は7年の統治を退いたが、悔しがり、母であったエリ(ダーナ神族)に相談に行くと、
父エラサ(フィモール族)へ相談することになった。
父エラサは母エリの所へ通い、その後に北の国へ帰っていた。
その帰り際に1つの指輪を残して「この指輪がぴったりの者に渡すように」と言い残していた。
父エラサはブレス王がその自分の指輪がぴったりはまっているのを見て、
彼が我が子だと認めたが、王座をおろされたのは彼の悪行の結果だったので、冷ややかに対応した。
だが、ダーナ神族から王座を奪い返すことには賛成だったので、フィモール族の長の、
魔眼バロールのところへ行き、
大軍勢を率いてふたたびダーナ神族に戦いを仕掛けた。
ヌァダは必死で応戦するが、ダーナ神族は凶暴なフォモール族に勝つ事ができず、
とうとうフォモール族による苦しい圧政が始まることとなった。
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