検証

以下はこの検証に必要な情報を時系列順に抜き出したものである。


★3/5 「
『青春チェリオ』からの当プチオンリー参加資格剥奪とそれに至る経緯について」より
・「なお、『Fullpedia』に関しましては
①企画段階から司書資格を有する人物に指導を受け、公式発行物の情報の掲載は全て研究・批評の用途において著作権法により許諾されている引用・参照の範囲で行ったものであるということ。



★3/6~8 「『Fullpedia』に関する騒動まとめ」より
①「この本は著作権法で定められた引用の範囲内で作成されたものであると主催側からの説明がある。
②「ただし、引用文と研究文は混合してはならないため、引用文の改変に関して同一性保持権の侵害である可能性がある。
③「また文章に関しては引用部が大半だが、構成等や書式・まとめ方の切り口は独自のものであり、オリジナル性のあるものであるということは認知できる。
④「『Fullpedia』は引用のルールに則り」(※主催側の主張として記述)



①③④に関しては、「騒動まとめ」より以前の情報である「それに至る経緯」に掲載された
・「引用・参照の範囲で行ったものであるということ」
という記述を完全に見落とした状態での主張であることから、
「騒動まとめ」側の、単なる事実誤認であるという指摘に終始する。

②に関しては、「同一性保持権」は引用のみに適用されるものではないという法的前提を確認した上で、当件に関する「騒動まとめ」の指摘が引用のみに限定されていることに限って判断すると、これも「その部分は引用には当たらないため、引用の形式に合致しないのは当然」という判断になる。

結論として、「騒動まとめ」が正当に『Fullpedia』の問題を指摘する内容であるためには、「『Fullpedia』は引用の形式にのみ基づいた研究である」という前提をまずは改め、
「『Fullpedia』は引用と参考の形式に基づいた研究である」という前提から切り口を模索し直す必要があるのではないだろうか。

 

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※なお、「同一性保持権」については著作権問題上でもかなり複雑かつ流動的な部類の 権利のひとつであり、「当ページは著作権に対する一般的な認識のもと双方の主張の相違や矛盾点のみを整理・指摘することのみに特化したものであり、司法の判断に委ねるべきレベルの適法・違法の区別をつける目的は有さないし、その権限もない」ことはここでは重ねてお断りしておく。
※しかしまた、「騒動まとめ」内で不足している一般的な著作権知識としてのみ追記すると、著作者の権利としてある「同一性保持権」に対し、資料の利用方法としてある「翻訳による引用」というものも存在する。これは「引用の要件に合致する場合には、翻訳して利用することができる」(『全訂版 著作権が明解になる10章』より引用)とした引用法で、「原文を要約して引用することについては、これを許容する明文の規定はないが、要約引用も認められるとした判例がある(東京地裁平成10年10月30日判決「血液型と性格」事件)」(前述書より引用)。
具体的な事例が両者のいずれに合致するかについては、司法の判断に任せるしかない。

最終更新:2013年03月10日 03:32