思いやる気持ちと平和への願い

最終更新:

timedark

- view
だれでも歓迎! 編集

思いやる気持ちと平和への願い  ◆F5TvyuXOuQ



ビッパたちにとっては【ニンゲン】は御伽話だった。
かつて、そして今もどこかでポケモンと共存している別のいきもの。
遺跡はかつていたニンゲンと当時のポケモンの生活の場だったとも言われている。
彼らが再びポケモンと出会う時、幸福が、または災厄が訪れるという――――

――――もっとも、このビッパには難しい理屈はわからない。
わかるのは、自分をニンゲンだという変なポケモンがプクリンのギルドにやってきたこと。
そして世界を揺るがす大きな事件が起きて、そこからその変なポケモンは帰って来なかった、ということだ。


 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


故にビッパは人間の姿をした人間を見たことがない。
ただ、あの開始の場で周囲にいたのがポケモンとは何だか違うことはわかった。
「ダンナはニンゲン……なんでゲスか?」
出会った彼は、武器――凄く綺麗な水晶で出来た槍だ――を置いて敵意のないことを示し、屈んでビッパに目線を合わせた。
「……お前……喋れるのか……?」
開始の場でヨミとかいうポケモンに食って掛かった、アークと呼ばれる、ポケモンとは違う何か。
彼はあの時の強気な印象とは違って、微笑みを見せた。
今にも泣きそうな、満面の笑顔だった。
「喋れるに決まってるでげしょう!? 言葉がわからないほどバカでないでゲス!」
「そっか、そうだよな。うん、ごめんな」
慈しむような目ですっと手を伸ばす、が、ビッパはそれを避けた。
「だ、ダンナがニンゲンなのか、答えを聞いてないでゲス!」
「人間? ……ああ、そうだな。オレは多分人間だ。そして多分……お前も人間に酷い目に遭わされたんだろうな」
ため息をついて眦に液体が浮かぶ、がそれは一瞬だ。
マントで拭う。ため息は拭いきれずにその場に留まる。
「あ、あっしは別にニンゲンが嫌いじゃないでゲス。自分のことをニンゲンだって言う変なヤツがいたけど、あっしの大切な後輩でゲス!」
「そっか」
アークは笑顔を取り戻し、もう一度手を伸ばしてビッパの手を取った。

「オレはアーク。お前は?」
「ビッパでゲス」
「ビッパか……知らねー名前だな。ま、世の中知らない事の方が多いんだけどな」
明るく笑うが、それが曇るのに時間はかからない。
「その……お前の首にも首輪が……」
「でゲス。あっしは殺し合いなんてまっぴらゴメンでゲスが……」
今度はビッパが泣きだした。
「怖いでゲス! 殺されるかもしれないし爆発するかもしれないでゲス!」
「だよな。オレも正直ビビっちまった……けど!」
「けど?」
立ち上がって手にした槍を目の前でクルクル回す。
ピタリ、と止めてアークは真剣な目で言った。
「ヨミがこんなことするなら相棒として止めてやらなきゃならねぇ」

――――突然の裏切りだった。
少々毒舌ではあるが、頼もしい相棒だった。だと思っていた。
それと目の前で自分より年下の子が死んだ衝撃は収まらない。
だが――――

「オレには武器がある。ちからがある。出来るならオレはそれを殺すためではなく守るために使いたい」
恐れるものを。戦う力のないものを。そして◆◆を。
「何か言ったでゲスか?」
「ん? いや、口に出すと勇気が湧いてくるけど、何か言うのも恥ずかしいなー、なんて」
「勇気……そう、勇気でゲスね!」
それはビッパに足りなかったもの。
自称ニンゲンのパートナーとなったポケモンがよく口にした言葉。
だから、ここで死ぬ訳にはいかないのだ。
あの戦いで帰らなくなったあの変なポケモンのこと、勇気や思いやりの大切さを、伝えていかなければ――――

「あああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
「ど、どうしたんだビッパ!?」
「思い出したでゲスよ! あの広間にいた青黒いポケモン、あれは闇のディアルガでゲス!」
「闇の……ディアルガ!?」
「あっしが直接見た訳ではないでゲスが、時をつかさどると言われるポケモンが……えーっと、時の……じゃなくて星の……とにかくナントカでおかしくなった姿でゲス!」

時が、おかしくなる。そう言われるとアークにも思い当たる節があった。
たとえば、アークが大地を復活させるまえの地表(ちおもて)
あそこは一体どうなっていたのだろう?
たとえば“あの日”が来る前のクリスタルホルムでの日々。
疑問に思う方がおかしい、そのはずだ。
毎日◆◆に起こされて、毎日かぼちゃやニワトリにイタズラして。
でもあんなに駆け回っていたのに何故村の“外”に気付かなかったのだろう?
そう疑問になりだすと、急にクリスタルホルムでの日々が思い出せなくなってくる。
地表に出てから、いや“あの日”からずっと帰りたいと思っていた故郷なのに――――

「でも、でもでゲスよ! その自分をニンゲンだという変なポケモンのおかげで、ディアルガは元に戻ったはずでゲス!」
「なのにまた狂ったのか……」

――ヨミ、のせいなのか?
もう一人、ブラック・シャドーとかいう奴もいたけれど――

「何が何だかわからないでゲスよ……それにこのダンジョンはどこでゲス?」
石で囲まれた通路。壁には何か光を放つもの――アークは電灯だと教えた――があった。
「んー、多分ここはビル街の地下道じゃないかな。ネオトキオでこんな所を見た覚えがある」
でも、とアークは笑ってみせた。
「ビッパがマッピングしてくれたおかげで、まだ行ってない所がわかる。出口も1つだけってことはないだろうし、行ってみようぜ!」


歩き始めた人間とポケモン。
出会うはずのなかった1人と1匹。
ビッパの視界に入らない高さで、アークはマントを引き締める。
幸せを呼ぶと言われるエルの織物。

――――◆◆、エル。
よかった、その名前はまだ思い出せる。
いや、忘れるものか。

地下道の足音に紛れて、エルの『さよなら』という声が聞こえた気がした。
そして、言葉を失っていたもう一人のエルの悲鳴が聞こえた気がした。

――この場所でも、オレを守ってくれ。
そしたら、オレがエルを守れるようにするから――


 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


【C-5/地下道/一日目・深夜】
【アーク@天地創造】
[状態]:健康
[装備]:クリスタルのヤリ@天地創造、エルのマント@天地創造
[道具]:基本支給品
基本:殺し合いを止めさせてヨミに真意を問う
1:エル、ここにいるんだよな……
2:ビッパと話せて嬉しい
3:何かヘンだ……
[備考]
3章終盤からの参戦。
ビッパとヨミや闇のディアルガについての情報交換をしました。

【ビッパ@ポケモン不思議のダンジョン】
[状態]:健康
[装備]:地下道の手書きマップ@オリジナル
[道具]:基本支給品、不明支給品(2~3)
基本:生き残る
1:アークのダンナは頼りになるでゲス
2:でも正直怖いでゲス……
[備考]
本編ED中、主人公消滅後まだ戻っていない期間からの参戦。
アークとヨミや闇のディアルガについての情報交換をしました。


【支給品情報】
【クリスタルのヤリ@天地創造】
アークが初めて手にした武器。
地裏ではアークの体力を回復させる効果があったが、地表に出てからは消えている。

【エルのマント@天地創造】
クリスタルホルムの織姫、エルが心を込めてアークのために織ったマント。
邪悪な魔力を退ける効果がある。

【地下道の手書きマップ@オリジナル】
ビッパが基本支給品の筆記用具で書いたもの。
未知の場所でのマッピングは探検隊としての基本である。
お世辞にも綺麗とは言えないが、必要なことは書いてある。



Chaotic dance 投下順 [[]]
Chaotic dance 時系列順 Smile,ちょっぴりTears.

オープニング アーク [[]]
GAME START ビッパ [[]]


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー