オープニング

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timedark

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オープニング ◆F5TvyuXOuQ




3つの針が時を刻み続ける。
11時58分――――――59分――――30秒――57、58、59――

12時を周り新たな時を刻もうとした瞬間、針はバラバラに飛び散った。




それが、覚醒の合図だった。




「これからお前たちには、殺し合いをしてもらうぜ」


ざわめく影たち。だが声を発することは出来ても身動きは取れない。
上には宇宙、遥か下には青い大地。しかし宙に浮かんでいると言うよりは何か透明な床を踏みしめているようだった。
真に宙に浮かんでいるものは嫌でも目に入った。声の発生元であるピンクの丸い物体だ。
謎の物体には耳と羽らしき突起もあるが、それを意識したとしてもこれが何者であるかを理解出来る者は僅かだった。
「ヨミ! お前何言ってるんだよ!」
そう、この赤いマントを羽織った少年くらいだろう。
しかし彼にすらこの状況は理解出来ていない。

「うるせえな、アーク。おいらの渾身の宣言、聞こえなかったのかよ?
 殺し合いだよ、殺し合い。“バトルロワイアル”とかもっと単純に“ゲーム”でもいいぜ。
 周りの連中……いろんな奴らがいるだろ? お前たちはその中で最後の1人になるまで殺しあってもらうぜ」
「ワケがわかんねえ! 何でオレたちがそんなことしなけりゃならないんだ!」
アークと呼ばれた少年が叫び、いくつかの声がそれに賛同する。
しかし物体――ヨミは飄々とそれを受け流し言葉を続ける。
「お前、いや、お前たちの役割は終わったのさ。だけどそれじゃあ可哀想だから最後に一花咲かせてやろうってな。
 最後に生き残った奴……アークでも誰でもいいぜ。とにかくその1人はちゃんと元の世界に帰してやるし、願いを叶えてやってもいいぜ。
 色々あるだろ? 力も富も名声も、生命ですら自由に出来るのさ。これまで、そしてこれからのゲームで死んじまった奴を生き返らせることも出来るんだぜ。
 まあ流石に全てを無かった事にする、なーんてのは聞いてやれねえけどな」
「お前……本気だってのかよ!?」
「本気も本気。気付いてないみたいだけど、お前たちには首輪を嵌めさせてもらったぜ。それには……おっと、実演したほうが早いかな?」
首輪にも今気付いたばかりだというのに、目の前では復数の影の中から1人の少年が宙に浮かびヨミのもとに運ばれていっている。
金髪に白いシャツ、泣きそうになっているのは決して生来の弱気のせいだけではないだろう。
「エリック!」
青い服の少年が叫んだ。
カチリ、と歯車が噛み合ったような音がした。
そしてそれにお似合いの、しかし妙に大きな針の音がエリックから聞こえてくる。
それが彼の首輪から発せられているのだと皆が気付くのに時間はかからなかった。
「!! 助けて、テム!」
「エリーック!」
エリックが泣き出し、テムは動かない身体でそれでも必死に手を伸ばした。


ボンッ


しかしそれが届くことはなく。
破裂音の後、エリックの首は宙を舞い、一拍置いて身体が忘れ物のように血を吹き出しながら地に伏せた。
泣き虫だが友情に篤かった少年の首は殆ど原型を留めていなかったが、涙を流すその瞳は手を伸ばした親友、テムを見ていた。
もっとも、彼に既に生命や意識はなく、偶然そうなっただけなのだが。
「う……エリック! エリック!!」
テムは叫ぶ。この場で彼に許された行動はそれだけだった。
「な、何だよ……! お前……何しやがった……!?」
ざわめきの中で絞り出すようにアークが問う。しかしヨミの調子は変わらない。
「落ち着けよ。今からそれを説明するところだぜ。さっき見てもらったようにこの首輪は爆発するようになっているぜ。
 逃げようとした時、首輪を外そうとした時、それと順次追加されていく禁止エリアに入った時はドカンだ。
 爆発ぐらいじゃ死なねえ、とかナメてる奴がいるかも知れないが、命が惜しけりゃ下手な考えは捨てたほうがいいぜ」
テムが叫ぶのをやめて睨みつけた。
「それだけ……それを説明するためだけにエリックを!?」
「勘違いするなよ。このバトルロワイアルに集められた時点で1人しか生き残れないようになっているんだぜ?
 あいつなんか殺る気になった奴と出会った瞬間終わっている。そんな絶望を味わう前に終わらせてやったんだ、感謝されても恨まれる筋はないと思うぜ。
 だいたい新たな時を刻もうってのにあんな……」

「そこまでだ、ヨミよ」

響く声と共にヨミのそばに突如角の生えた大きな人影が現れる。
エリックの死体をべしゃりと踏みつけるが、無造作にテムの前に蹴り出した。
「あ、あ……!」
「! ブラック・シャドォォォォォォ!!」
これまでとは一転、低い怒号が空間に響く。
発生源を見るとバイザー付きのメットに青いレーサースーツを身につけた男だった。
そして彼は奇跡というにはあまりにも弱々しく、しかし着実な一歩を踏み出していた。
誰もが行動を縛られた中で、である。
苦しいのかうめき声を漏らす。だが、彼は確実にブラック・シャドーへと近付いていった。
「ほほう、よくぞ動けるものだな、キャプテン・ファルコン」
「……貴様の姿を見ればな」
「その意気やよし。だが貴様は状況が理解出来ぬほど愚かなのか? 動けるとはいえ歩くのが精一杯。そしてその首輪、忘れたわけではあるまい?」
それには答えずトンッ、と一気に距離を詰めた。

だがその拳はブラック・シャドーに通ることなく、謎のバリアにぶつかり余剰エネルギーが弾けた。
ヨミがケラケラと笑う。
ブラック・シャドーの背後にはいつの間にか赤い眼と模様が不気味に揺らめく“何か”が控えていた。
青黒い四つ足のそれは獣というにはあまりにも大きく神々しく、そして何故か心を騒がせた。
「ククッ、お前も来たか。ご苦労だったな」
「貴様ぁっ!」
「物分かりの悪いことだ。しかしこの宴のおかげで私は気分がいい。貴様はペナルティで済ませよう」
そして、その空間からキャプテン・ファルコンの姿がかき消えた。

一瞬の溜息の後、急に空間が静まり返る。

「理解してくれたようで何よりだ。この私直々に詳細なルールを説明したいところだが、先程のようにゲームの開始を待てぬ者もいるだろう……何より我々が待ちきれぬ。
 これよりお前たちを会場へと転送しよう。道具や武器、ルールブックを入れたデイパックも同時に支給する。
 食料などの基本支給品以外の道具や開始地点はランダム性があるが運も実力のうち。精々足掻き、知恵を巡らせ、奪い取り、殺し合うがいい」


静寂という応答の中でブラック・シャドーが高らかに宣言した。

「それでは、バトルロワイアルを開幕する!」


「グオオオオオオォォォォッッ!!」

咆哮と共に空間が歪む。

一瞬赤と青の光が鼓動のように煌めいたが、やがて全てが闇に消えた。



【エリック@ガイア幻想紀 死亡確認】

【Time&Darknessロワイアル 開幕】
【主催:ヨミ@天地創造、ブラック・シャドー@F-ZEROファルコン伝説、闇のディアルガ@ポケモン不思議のダンジョン、and more...?】
【残り50名】





その時計に針はない。

存在するはずのない“13”の文字が浮かんだ時計は、静かに闇を刻んでいる。






投下順 天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ!
時系列順 天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ!

GAME START アーク 思いやる気持ちと平和への願い
GAME START テム 鏡のメロディー
GAME START バート・レミング 笑顔の裏に影を潜めている
GAME START エリック GAME OVER
GAME START ヨミ [[]]
GAME START ブラック・シャドー [[]]
GAME START 闇のディアルガ [[]]



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