マドロシティ編・ゼラブル山編 活動レポート

概要

記念すべき? 1~6話の内容です。ポケモン世界にある普通の考えは通用しません。しかも、ポケモン用語やタイプ相性などをあらかじめ知っておかないと話についていけない部分もあり、素人はお断り的な印象も持っています。
あらすじはマドロシティ編・ゼラブル山編 あらすじ 1~6話を参照。

物語の鍵となる導入部分。特撮や変身物において肝となる、戦う理由や変身システムの説明や設定がほとんど語られないまま話が進む。また、ポケモンに関する知識はあらかじめ全て知っていることが前提となっており、掛値なしに難易度は高い。



連載前の評判

長い歴史を誇るポケットモンスターシリーズにおいて、初の週刊誌での連載となった。連載前から大々的に本誌で取り上げられており、サンデー復活の兆しになると思った人たちが多かった。しかし……。
  • 予告イラストでは、作中に登場すると思われる人間だけが描かれ、ポケモンは一切描かれていなかった
  • 後から描かれたポケモンが、マラカッチ・コアルヒー・ズルッグ等、BW序盤に登場しないポケモンばかり
  • しかも、ポケモンとはかけ離れたような風貌を持つ人物が多く、違和感があった
  • それでも、描かれた人物達の手持ちポケモンの予想などもあった
  • 目的がチャンピオン打倒や図鑑完成とは程遠い、父と謎の戦士アルカデスを捜すというもの。ポケモンとは無関係……

余談

1話は、まるごとコロコロコミックの付録として出張した。だが、表紙に移っている右側の人物の何名かがポケモンに代えられている。さらに、BURSTと言う存在は1話のラストを見て初めて判明する。作中で最も重要となるキーワードだが、彼の連れているポケモンが…と言う触れ込みで、設定そのものが徹底して伏せられていた。巻頭カラー45P+表紙とビッグな扱いにもかかわらず、雑誌をパラパラ捲っただけではどこにポケモンがあるのかわからない読者が多く、第1話を実際に見て初めてこの漫画がポケモンだったと言われるほど衝撃的な幕開けとなった。


物語の全般的な特徴

  • ポケモンがほとんど登場しない。後には全く登場しない話もある
  • モンスターボールは、序盤こそ登場するが、その後は全くと言っていいほど登場しない
  • 暴力や銃で町を支配する悪の組織*1
  • 序盤から進化系のポケモンばかりが登場する
  • 主人公は並外れた身体能力を持ち、手持ちは伝説のポケモンであるゼクロム
  • ポケモンの扱いが悪い*2
    例:背景・かませ犬・道具・オリキャラに無双される
  • 人とポケモンが融合し、異形の姿となって相手と戦う能力バトル漫画
  • 人間キャラを中心に回っている世界観
  • ポケモンバトルやコンテストなどはなく、ポケモンが目立つ要素や施設は排除
  • ポケモンを一人・一匹の人物として認識せずに、物語が進んでいく
  • 時にはお色気サービスもある(アニメ化以前の初期のポケモン漫画ではたまにあったが)


マドロシティ編


1話 「冒険の始まり」 不満点

  • ポケモンがほとんど登場しない!
    第1話は50ページほどあったが、そのうちポケモンが描かれているのは、たったの5コマのみだった。
    本当にポケモンの漫画を読んでいるのか? と錯覚を起こすような展開が、この時から続いていくことになる。
  • 主人公が最初に手に入れたポケモンが、物語の到達点・ラスボス格である、伝説のポケモン。バトルには勝って当然、負けたら完全に使用する人間側に問題があるとされるほど強いポケモンが、いきなり主人公の相棒である。
    • ラスボスもしくは主人公、それもストーリー終盤でもない限り、持っているほうがおかしく、ミスキャストと言えるほど。主人公は本来、成長する要素を持っているのが普通であり、RPGで言ったら、主人公のレベルや能力値は初期状態だが、最初から持っている装備が全て伝説の装備(黄金聖衣)でスタートするようなものである。
    • とはいえ、主人公がゼクロムのBHを持っていることそのものが問題なのではない。例えば、名探偵コナンの作者の過去の作品である『YAIBA』では、主人公が雷神の力を手に入れ、それを使えばライバルである風神の力を持つ鬼丸(いわゆるラスボス)以外は圧倒できるが力を持つが、『使用すると正気を失う』『使用すると体力を著しく消耗する』といった描写があるため、序盤は使用できない、使用を禁じられていたため、バランスはとれている。つまるところ、この漫画でもゼクロムとBURSTすると、一分も戦っていられない。もしくは長く使用すると正気を失い暴れてしまうなどの制約があり、なおかつ普段は普通のポケモン(例えばポカブ、ツタージャ、ミジュマル等)とBURSTを行うという設定であれば問題はなかった。また、この『使用すると著しく体力を消耗する』という性質があれば、『逃げ回ってれば勝手に疲れて負ける』という事でもあるため、ゾロアのBURST戦士であるハリルがゼクロムとBURSTしたリョウガを幻影で翻弄して逃げ回り、ゼクロムに勝利することも不可能ではないし、弱いポケモンでも使い方次第で何とかなるという魅せ方につながったのだが……そんな展開はなかったのである。要するに、見せ方がとことんまで下手なのだ。徐々に使用時間を延ばしたり、凶暴化しても仲間や民間人を襲わないようになるなど、徐々にゼクロムとBURSTするための制約が薄くなり、終盤でゼクロムを使いこなせるくらい成長するような描写があれば、カタルシスを覚えるだろう。ゼクロムを普段から当たり前のように使用でき、なおかつそれで普通のBURST戦士に負けてしまうのが問題なのである。
    • 努力型の主人公とゼクロムの相性は最悪であり、熱血・友情・努力・逆境・勝利タイプの主人公が、名家出身・品行方正・成績優秀・容姿端麗・スポーツ万能・スタイル抜群の優等生型のゼクロムの力を得て戦うという内容。この組み合わせは、本来のポケモン漫画であれば、成長に関しては伸びる余地がないと言えるほど完成しており、漫画としても努力する要素や負ける要素がほとんど見当たらない。
    • 禁止伝説は専用技や強力な一致わざの一本だけで、大半の相手は勝負すらしてもらえない程、次々と倒していく。
  • 従来のポケモン世界における、ファンタジー+超科学とは、全くかけ離れた世界観。世紀末の風景にトレーナーとポケモンが怯えながら暮らしている。
  • 融合したその姿は、人間をベースにポケモンを貼り付けて、人間の顔がお面のようになったような姿であり、まるで1話やそこらで倒される怪人のような雰囲気である。
  • ミルトは「たかが一匹では何もできない」とポケモンの力を侮り、ヤザは「カスみたいな命」とポケモンを見下している*3。ポケモンを題材にする作品では考えられない発言で、まるで下等な生き物を見下しているようにも聞こえる。
    見続ければわかるが、この漫画ではポケモンの価値は本当にその程度であり、ほとんどが見下しているような発言や描写が多い。
    • ちなみに、歴代のポケモン主人公達は「たかが数匹のポケモン」で、数百~数千ともいえるだろう、悪の組織のポケモンたちと戦い、見事に組織を壊滅させている。
  • ポケモンのいないポケモン物語。読者達の疑問はマドロシティの開始時期から始まった。類を見ない世紀末な光景に、ポケモンがほとんど登場しないままストーリーが展開されていき、止めにBURSTという単語と、融合した姿が伝説のゼクロム。その衝撃は凄まじく、多くの読者に見切りをつけさせたほどであった。
  • 主人公リョウガは、“ためしの儀”に合格したことで、旅立ちを許されたが、この設定に問題がある。
    • 作中では、「ポケモンに関する基礎知識・開墾作物栽培・力試しの3科目に取り組み、獲得した点数の合計が240点以上で合格」「力試しのみで300点以上取ることも可能」と描写されていたが、旅に出るのに、農耕に関するスキルが必要だとは思えない。開墾や作物の栽培などを行うには、一か所にある程度長期間定住する必要があるため、様々な場所を転々とすることが前提となる旅では、これらの知識や技術は役に立たないと思われる。なお、農耕については過去の作品にあった(BW世代にはない)きのみ栽培が元ネタになっていると思われる。
    • 仮に、荒れた土地などへの移住を目的として実施されたとしても、試験の方法そのものに問題がある。リョウガは力試しで、他の2科目での不足分を大きくカバーして合格したが、これでは「どんな荒れ果てた土地で、ポケモンや農業などに関する知識などなくても、力さえ強ければ生活していける」と考えられているようなものである。
  • 「ポケモンと子供が旅をするのは普通のこと」と言ったミルトが、その1ページ後に「ここから北にあるマドロシティには近づいちゃダメ」
    治安の悪い場所がそんな近く*4にあるのなら、母親が不安に思うのは当たり前だろう。*5

2話 「リョウガの秘密」 不満点

  • 封印されたポケモン。2話で登場した「封印」という設定。明らかにポケモンファンの嫌悪感を煽る単語である。後々多くのポケモンファンの怒りを買う伏線となっていくことに。
  • 早くも二人目のB戦士が登場。地味に抹殺や処刑とか物騒な言葉を使い、絶対にありえない方法で始末している。
  • BURSTハートについて、「モンスターボールが中にポケモンを出し入れするのに対し……」と説明が入るが、モンスターボールはトレーナーがポケモンを収集し育成するための道具であり、ポケモンを封印して能力だけを戦いのために使うBURSTハートとでは、使い方以前に使い道が全く違うので比較にならない。
    なお、BURSTという現象のまともな説明は、全編通じてここだけである。


ゼラブル山編

リョウガとミルトの最初の目的地。突然登ることを決意したり、待ち伏せされたりと、ここからReBURST世界が繰り広げられていく。初めてのB戦士同士の戦いもあり、このエピソードには最初で最後といえる要素が多いのが特徴である。

3話「危険なゼラブル山」 不満点

  • ミルトの持つバルジーナの出番を、主人公自らのセリフで奪い、直後にデンチュラよりも高い身体能力を見せつけて、ポケモンをかませ犬にした。今までのポケモン漫画では考えられないことであり、多くの反感を買ってしまった。
    ジムリーダーや超能力者など、ポケモンに迫る身体能力を持つ人物は今までにもいたが、あくまでポケモンと共にトレーニングをしたり、ポケモンと深く分かり合うためなど、大きな目的を持つものがほとんどであり、人間キャラがポケモンをかませにするという展開は、まず見られない。
  • 山頂で突然待ち伏せされ、先制攻撃される。1話で活動していた組織の幹部であり、主人公を抹殺するためにやってきたらしい。しかしリョウガは、かなり行き当たりばったりな理由でゼラブル山に登ることを決めている。また、悪の組織もリョウガに敗北したことでマドロシティから撤退しているため、彼がゼラブル山に登ろうとしていることは知らないはずである。なぜ突発的な行動をする主人公の行き先が読めたのか?
    しかも、大の大人でも命の危険がある山だと説明されており、そんなところで待ち伏せする意味がわからない。予知能力でもないとこの展開は成立しない。
  • 「登ってやるわよこんな山!!」と大言壮語を吐いて、頼まれもしないのに勝手にリョウガについて行こうとして、あっさり音を上げるミルト。
    トウゴから「プロの忠告を聞かないからだ」と嘲笑われて「デンチュラに引っぱってもらってるくせに……」などと言い返すが、元々トウゴの忠告には「相棒ポケモンとの親密度」が含まれているのである。
    要するに、準備もしないで山に登って遭難した人間が、ちゃんと準備してきた人間に向かって「準備があるから登れるくせに」とメチャクチャな批判をしているわけで、非常に見苦しい。

4話「初めての戦い」 不満点

  • ゼクロムVSドリュウズ、最初にして最後の好カード。イッシュ地方のポケモンで唯一、ゼクロムのタイプ一致攻撃を全て半減させて弱点をつけるポケモンがドリュウズである*6
  • ポケモン知識テストでは57点も取っていたリョウガがポケモンバトルの基礎の基礎となるタイプ相性を知らない。
    • 点数を見ると少しはきちんと勉強しないと取れない数字である。試験自体のレベルが非常に低いのかもしれない。

  • ポケモンにおけるタイプ相性は17タイプ(連載当時)もあり、さらに2タイプ複合まであるので本編などを通し、経験をつまないと覚えられない。初心者にはこのポケモンはこのポケモンに有利、不利といった描写を徹底しないとわからない。
  • そもそも、ドリュウズはほとんどのタイプの攻撃を半減してしまい、状態異常の「どく」まで無効にする『はがね』タイプをもっている。さらに、もうひとつのタイプでも効果が薄いとの説明が、初心者を突き放している。相性だけで見れば序盤のボスなのに強さに隙が全く無く、1面のわずかな間でレベル上げ等を吟味したりしなくてはならず、2面の時点で持てる知識と実力を出し尽くす難易度である。そのためゲームにおいて序盤にはがねタイプのポケモンはほとんど登場しない。
    • 最初のBURST戦士同士のバトルで、しかも最終進化ポケモン。
  • だが、そんな相手でさえも、ラスボス的な立場にあるゼクロムに負けることは許されず、他の作品においては勝ってしまう事がある。
  • ドリルライナーではなく、ドリッガーキャノン。度肝を抜かれ、ピンチになるシーンは最初で最後のハイライトである。
    唐突に原作の要素を排除した技を出されたので、読者は説明不足*7*8どころか、置いてけぼりを食らってしまった。

5話「圧倒的不利・・・!」 不満点

  • ミルトがポケモントレーナーを見下し、下等だと思っているような描写がある。
    1話では「ポケモン一匹では何もできない」と発言したが、今回はトレーナーとポケモンを、B戦士の足手まといだと、一方的に戦力外通告。リョウガの行動に惑わされがちだが、彼女も一人前にポケモンを、自分よりも下等な生き物だと見ている。
    • 他人にケチを付けている暇があったら、ミルトは自分の手持ちかトウゴの所持ポケモンに、ドリュウズに対して有効な技を持つポケモン*9がいないか確認するべきだった。

6話「リョウガの想い・・・」 不満点

  • 必殺技を使わず、何だかよくわからない決着方法で、初めてのバトルは幕を閉じた。こちらだけが必殺技を使わないという展開は、明らかに強化フラグが先の展開にあることがわかってしまう。また、納得の行かない勝ち方でもある。
  • B戦士の攻撃一発で、大怪我を負ったデンチュラ。またしてもかませにされてしまった。「キズぐすりで治せない怪我」発言にも問題があり、本来のポケモン世界なら重傷を負ったポケモンがいれば真っ先にポケモンセンターという単語が頭をよぎり、口に出るのが通例である。
  • しかし銀の雫がその場に都合よく咲いていた、ポケモンの道具やポケモンセンターがお払い箱にされたようにも見える。
  • そしてヒルグレイツは、お馴染みの「○○は四天王の中でも最弱」ポジションらしい。
  • リョウガがゼラブル山に登ったのは、高い場所から見渡してアルカデスを探すためだったはず。なのにそんなことをした様子もなく下山してしまった。
    また、2話でGGからアルカデスの情報を聞き出せなかったことに落胆していたのに、ヒルグレイツにアルカデスの事を訊こうともしなかった。本気でアルカデスを探したいと思っているのだろうか?


最初にして最後の描写の数々

  • ポケモンそのものと人間の共闘
  • 「デンチュラ、いとをはくだ!」
    原作の技を使うバトル*10
  • 主人公&ゼクロムに対して圧倒的有利に立てるタイプをもつ相手
  • ポケモンを一個の生きたキャラクターとして認識している人間キャラとの出会い
  • ミルトがバルジーナを所持している事実*11
  • Bハートが壊れ、中のポケモンを解放する
  • 「○○○シティ」という町村名。*12
  • BURST状態でBURSTハートが露出したデザインのBURST戦士。*13

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2019年02月18日 20:24
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。

*1 他のメディアミックス作品におけるポケモンの世界では、銃火器の類が登場したことがない。おそらく、武器に匹敵する戦闘能力をもつポケモンたちが多数存在するためだと思われる。

*2 例え伝説のポケモンであっても、この漫画に登場すれば、簡単にオリキャラのかませ犬へと早変わり。

*3 悪の組織の構成員なら、ポケモンを単なる道具とみなすような発言をすることは珍しくないが、主人公サイドのキャラクターがこのような言動をするのは、少なくともポケモン漫画ではあり得ない。

*4 マドロシティでリョウガがBURSTした時の閃光が、時護りの里の屋内から見える程度にしか距離は離れていない。

*5 従来のポケモンは警察機構が機能しており、悪の組織などは影に隠れて活動するしかなく、またポケモンがボディガードにもなってくれるため子供が旅をしても問題がない。世界観の違いを全く考慮していないと思われる。

*6 ナットレイも候補だが、火力が足りずに押し切られる可能性がある。

*7 コミックスなどにおいてもこの作品独自の世界観や専門用語等を説明していないので、読者は脳内補間して納得するしかない。

*8 アニメや漫画にもオリジナル技はたまに登場するが、原点や基本を応用させて繰り出すのでまだ納得できる。

*9 ドリュウズの弱点は炎、水、地面、格闘タイプの技。ゲーム準拠なら移動中に使う波乗りや穴を掘るに弱く、旅のトレーナーなら持っている可能性は小さくない。

*10 というか、これ以降ポケモンの技は、ほとんど描かれない。唯一描かれたのは、ユニランの『サイコキネシス』だが、これはバトルではなく、Bハート回収のために使われた。

*11 ただし、その後は一度もバルジーナは登場しない。ミルトも、出そうとしない。

*12 シリーズ通してポケモンの町の名前と言えば、アニメでまれに村や里といった呼称が出るだけで基本的には「○○○シティ」か「○○○タウン」である。この漫画でシティと付くのはマドロシティだけで、クーガやカナイなどは「村」と呼ばれており統一性がない。

*13 ヒルグレイツの胸と、ゼラブル山戦までのリョウガの左手の甲にのみ描写がある。リョウガのBURSTハートは上からゼクロムの手が被さっており、以降の戦闘シーンでは隠れて見えなくなっている。