ペトリ一眼レフ交換レンズの系譜 標準レンズ編

ペトリ一眼レフ交換レンズの標準レンズの変遷について、時系列でまとめた。


Kuribayashi c.c. Petri Orikkor 1:2 f=50mm

1959年10月発売。PETRI PENTA用のペトリ最初の35mm一眼レフ用レンズ。
M42マウントでプリセット絞り。
絞りリングに、視認性に配慮した緑色の指標が見られる。この後のペトリのプリセット絞りレンズにも共通の特徴である。
基本は、ダブルガウスタイプのレンズであるが、後群に3枚を貼り合せたレンズが使われている4群7枚の構成。
写真工業1959年7月号のペトリペンタの記事によると、バックフォーカスを確保しながら50mmを達成するためとされていた。
画像提供 元ペトリカメラの技術者 今関幸夫さん


Kuribayashi k.c. petri orikkor 1:1.8 f=55mm

2014年7月にヤフーオークションに出現した謎のレンズ。
Orikkor銘の標準レンズでこのスペックのレンズは記録がない。
M44のミランダスクリューマウントでシリアルNo.30000と市販品とは考えられず、当時の試作品と見られる。



Kuribayashi C.C. Petri Orikkor 1:2 f=50mm

1961年2月発売。PETRI PENTA V2用の最初のペトリマウント自動絞りレンズ。
PETRI PENTA V2の取扱説明書によると4群6枚となっているが、2chペトリスレにレンズ面反射の形が4群7枚のプリセット絞りと同じに見えるとの報告があった。
生産途中で、レンズの設計変更があった可能性がある。
ペトリペンタV2初期の取扱説明書より


Kuribayashi C.C. Petri 1:2 f=50mm

Petri Orikkor銘からPetri銘に名称変更されたレンズと考えられる。
名称の変更時期は不明であるが、写真工業1961年6月号のペトリペンタV2の記事では、「ペトリレンズ」と紹介されており、4群6枚のレンズ構成図が掲載されていた。



Kuribayashi C.C. Petri 1:2 f=55mm

1962年2月頃、50mmから55mmに設計変更され切り替えられた。
この55mmF2は、オート時は絞り羽は見えなくなるが、自動絞りレバーが押し込まれるとf2相当に絞り込まれる仕様となっている。
アサヒカメラ1966年6月号のペトリV6のニューフェース診断室では、AUTO時の実測F値が1.85であったとの記述が見られ、F1.8クラスの口径のレンズを絞り羽によって口径を制限することによって、F2のレンズとしてとして販売されていたようだ。
開放、絞込み時の絞り羽。
このことは、アサヒカメラ1967年6月号のFTの記事でテストされた55mmF1.8の性能、収差がペトリV6でテストされた、55mmF2に非常に似ていることからも推測できる。
光学設計は、富田良三氏。このレンズ以前の50mmf2も富田氏の設計の可能性がある。
ペトリの55mmf1.8/2レンズは、その後、光学設計が変更されていることが判明しているため、petri@wikiでは便宜的に「旧型」と称する。
新型55mmF2と同様に絞り羽ではなく、口径制限リングによってF2としたレンズも存在する。
62年の社名変更に伴い途中からKuribayashi銘からPETRI CAMERA 銘に変更された。
初期のレンズには絞りリングの回転方向が、通常のペトリのCC.Autoレンズと逆(EEレンズと同じ)のものが見られるが理由は不明である。
フィルター径は52mmのものが多く見られる。
ペトリペンタV2後期の取扱説明書より



C.C. Petri 1:1.8 f=55mm

1962年7月頃ペトリフレックス7用として出荷されたのが最初と考えられる、前出の55mmF2と同一の光学設計と思われるレンズ。petri@wikiでは「旧型」55mmF1.8と称する。
旧型の55mmF1.8には名称、外観に多くのバリエーションが見られる。旧型55mmF2とは同一の光学設計ながら、フィルター径55mmのものが多いなど、外観は変更さている。
この頃のペトリの標準レンズは、V6、FTなどカメラによって、同じスペックの標準レンズでも外観デザインを変えている。また外観の変更も頻繁に行われていたようだ。

ペトリV6取扱説明書より


C.C Auto petri 1:1.8 f=55mm

55mmF1.8はペトリFT発売後しばらくして新設計の光学系にリニューアルされた。petri@wikiでは「新型」55mmF1.8と称する。
アサヒカメラ1967年6月号のニューフェイス診断室のメーカー回答で、現在発売中の物は改良された物で、機会があれば取りあげてほしいとの記述があり、55mmF1.8は、設計変更されていることがわかる。
診断室で取り上げられているレンズはSN:308558、その後出版されている69年版レンズ白書は改良後の物と思われるが、SN:338876なので、この間に変更されていると考えられる。
2chペトリスレでも、旧型とはレンズ面反射の形が異なることが報告されている。
FT付属の55mmF1.8の新型光学系への変更ではレンズの外観デザインは変わっていない。前玉、後玉の枠形状で判断できる程度である。
V6初期に付属した55mmF1.8は55mmフィルター径でFT付属のものとは外観デザインが異なっているが、こちらにも新型光学系の物があることが報告されている。
FT付属の55mmF1.8は絞りのクリックがない。

新型初期のものには、黄変と放射線が検出される個体が確認されており、酸化トリウムを用いた硝材が使用されていたと考えられる。
写真工業1967年5月号のペトリFTの記事中後群に2枚の新種ガラスを採用したとの記載があり、レンズテータのLAFN5がこれに相当する。硝材は短期間のうちにランタンにおきかえられた物に変更されたことがわかる。
また、松居博士の高次収差理論を取り入れて設計、新種ガラスの採用をカメラ側からの2枚に押さえながら、像面湾曲、メリジオナルコマ収差の補正が特に優れているとの記述もあるが、これについてはアサヒカメラ1970年12月号のペトリFTEEのニューフェース診断室の記事で、同一の設計を持つEE55mmF2のテスト結果が旧型のテスト結果に比較して周辺の解像度低下が少ないこと、petri@wikiでのデジタルでの比較撮影結果からも確認できる。
光学設計は、島田邦夫氏であることが、ペトリカメラ技術者OBの証言から判明している。

1971年版のレンズ白書ではクラスナンバーワンの評価であった。
このレンズと同一の光学系で、C.C Auto F2 、EE Auto F1.8、EE Auto F2、が生産され、その後M42マウントに変更されたレンズが輸出専用機種のペトリFT1000などの付属レンズとしても生産された。
55mmF1.7も同一の光学設計の口径拡大版であることが確認されており、ペトリ55mm標準レンズのマスターピースである。
ペトリFT取扱説明書より


C.C Auto petri 1:2 f=55mm

旧型と同様、新型55mmF1.8と同一の光学設計のレンズを口径を制限することでf2として販売したレンズ。
旧型初期の物とは異なり、絞り羽とは別の口径制限リングによってF2としていた。
新型55mmf1.8と55mmF2の比較。F2の絞り付近に口径を制限しているリングが確認できる。
発売開始時期は不明である。


C.C Auto petri 1:1.4 f=55mm

ペトリ FTの発売に合わせて開発、販売された、ペトリ製としては最も明るいレンズ。 5群7枚。
1974年カメラレンズ白書で、「素晴らしいレンズ」と評された。カメラ毎日1967年12月号、1971年版のレンズ白書でも当時の最高レベルの評価であった。
光学設計は、島田邦夫氏。
ペトリFA-1ブックレットより(ボディ断面はFTと考えられる)


EE AUTO C.C petri 1:1.8 f=55mm

69年11月のペトリFTEEの発売にあわせて、C.C Auto の新型55mmF1.8をEE対応レンズとしたもの。光学系は同じ。
フォーカスリングがゴム巻きとなり、絞りリングの回転方向がC.C Autoレンズとは逆となった。


EE AUTO C.C petri 1:2 f=55mm

C.C Auto の新型55mmF2と同様、F1.8レンズの口径を制限することでF2として販売したレンズ。
EE F1.8レンズとはフィルター枠、絞りリングをシルバーとすることで外観を差別化している。


EE AUTO C.C petri 1:1.7/55

1974年に発売されたF1.7の標準レンズ。2chペトリスレにレンズ面反射の形が新型C.C Auto 55mmF1.8と同じで、ゴーストの形状も酷似。後端のレンズが同一との報告があり、基本的には同じ光学設計を持ったレンズであることが判明した。
前群、後群の貼りあわせレンズの径は大きく、実F値も明るくなっている。コーティングは新型55mmF1.8と異なる。


EE petri MC LENS 1:1.7/55

前出のEE55mmF1.7をマルチコート化したレンズ。FTEブラックボディの付属レンズとして販売された。
マルチコートとなっている面は2~3面と少ないことが2chペトリスレに報告されている。
ペトリカメラ元技術者へのインタビューの元ペトリの設計者、半田善朗さんの証言からも、マルチコートとなっている面が少ないことが確認されている。


C.C Auto petri 1:1.7/55

前出のEE55mmF1.7のEE機構を廃し、絞り込み測光用レンズとしたもの。



C.C Auto petri 1:1.4 f=55mm(EE)

FA-1用に1975年に発売されたレンズ。C.C Auto 55mmF1.4をEE化したもの。
フォーカスリングがゴム巻きとなった。
非常にレアで、中古市場で見かけることはめったにない。


C.C Auto petri 1:1.8/55

新型55mmF1.8をM42マウント化したレンズ。1973年頃より生産された。海外販売されたペトリFTX、FT1000などの付属レンズとして生産された。
初期のものは、ペトリマウントの新型55mmf1.8のフォーカスリングをゴム巻きにした程度の外観の違いであるが、後期のものは外観部品のほとんどが樹脂化されている。
写真は後期型。


C.C AUTO petri 1:2.8 /50

imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
M42マウントのペトリFT500の付属レンズ。
OEM調達品と考えられるが調達先は不明である。
このレンズと同じものが、AUTO RIKENON 、AUTO FLEX 、AUTO REVUETAR 、BEROFLEXのブランドでも発売されている。



C.C AUTO petri 1:2.8 /55

imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
M42マウントのペトリFT500、ペトリSRH500用の付属レンズ。自動絞り。
rikenon cosina carena などのブランドで同じレンズが販売されている。
OEM調達品と考えられるが調達先は不明。一般的にはコシナ製とされることが多いが、プリセット絞りの日東製MEPRO KOMINAR 55mmF2.8
と同様の光学系を持つことがわかっており、日東製の可能性が高いと考えられる。


C.C Auto petri 1:1.7 f=50mm

1977年、ペトリMF-1の付属レンズとして販売されたレンズ。4群6枚。
フォーカスリングが回転ヘリコイドのように前後するにもかかわらず、レンズ自体は回転せずに前後するペトリ独自の構造。
外観部品がほとんど樹脂化されている。
カメラ側から見て、右無限、左無限、両方のフォーカスリングの回転方向の物が確認されているが、2種類ある理由は不明である。
F1.8の表記の物もある。
ペトリカメラ倒産後、組合により自主生産。ペトリ工業設立後も生産された。


C.C Auto petri 1:2.8 f=45mm

こちらも、1977年、ペトリMF-1の付属レンズとして販売されたレンズ。3群4枚テッサータイプ。
外観部品がほとんど樹脂化されている。
フォーカスリングが回転ヘリコイドのように前後するにもかかわらず、レンズ自体は回転せずに前後するのも、50mmF1.7と同じである。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2017年01月16日 20:29