「AKIRA」あと語り
今回取り上げた『AKIRA』は漫画史に残る名作。
マンガ史的に重要な位置にある作品である事は知識としては知っていましたが、
今回のマンガ語りで実際に作品を読んでみて、その凄さを肌で感じることができてよかったです。
とにかく空間表現の凄さ、キャラクターの動きの表現、建造物のディティールなどなど、
目で見て「すごい!」と感じるシーンの連続でした。
「かっこいい!」
その一言に今作の魅力は集約されていくのでしょう。
ただ、その一言では表現しきれない感動が詰まった作品になっています。
今作のキャラクターは「人間」というよりは「役割、職業」という感じで、
「不良は不良らしく」「軍人は軍人らしく」「科学者は科学者らしく」
それぞれのキャラは与えられた「役割、職業」の持っている類型的な特徴によって行動する様に描かれています。
ややもすると「キャラが薄い」という表現になってしまいがちですが、
今作はその「キャラの薄さ」をよい方向に利用して、
キャラクターの行動に「強さ」を与えています。
キャラを濃く、深くしていくと、キャラの行動には葛藤が生まれます。
その葛藤がドラマを作り、作品を盛り上げることもあるのですが、
今作はキャラを薄く、行動に葛藤の余地を与えないことで
それぞれのキャラの行動に迷いがなく、それぞれの思惑が力強くからみ合って、
「振り切った」キャラの行動によって「振り切った」スピーディな展開が生まれ、
大きな現象を引き起こしていきます。
社会からドロップアウトしてしまった不良少年が、
国家レベルの秘密プロジェクトに巻き込まれ、
どんどん大きな変化に遭遇し、
日本を、終いには世界をも巻き込む大きな事態へと状況が発展していきます。
そんな派手な展開に心躍りました。
今作は劇場版アニメーションの方を観たことがあるという人の方が多いのでしょうが、
原作漫画をまだ読んだことのない人には是非読んでもらいたいですね。
さて、Twitterマンガ語りは今回で第50回を迎えることができました。
これもひとえに参加して下さる皆さんのお陰でございます。
ありがとうございます。
これからもTwitterマンガ語りをよろしくお願いします。
2014/1/27 by utarou
最終更新:2014年01月27日 22:56